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東晋平『蓮の暗号 ―〈法華〉から眺める日本文化』
¥2,860
「侘び・寂び」でも「アニミズム」でも「武士道」でもない日本。 その流れは、あからさまな水音を立てない。 むしろ地中深くを潤し、あらゆる草木の根から茎へと巡って森を育んできた。 ありありと描かれているのに、私たちがそうとは気づかないもの。気づかせないもの。 それについて、あえて想像力を豊かに解読の妄想に耽ってみたい。(帯文より) 物語は、今から30余年前、著者がメトロポリタン美術館で運命的に出あった一双の屏風から始まります。江戸時代の絵師・尾形光琳によって描かれた《八橋図屏風》。それは、著者がはじめて自国「日本」の姿を実感した瞬間でした。 21世紀に入って世界の軸が徐々にアジアへと移り、日本にもインバウンドの波が訪れはじめます。一方で、日本文化が「詫び・寂び」「アニミズム」「武士道」といった紋切り型の言葉で語られるほどに、著者の中では違和感がくすぶっていました。あのメトロポリタン美術館で見た屏風に脈打っていた生命は、それらでは言い表すことのできない何かだったからです。 日本文化の土台には、まだ見落とされているものがあるのではないか。脈々と深部に流れ、豊かに咲き誇っているのに、ありありと描かれているのに、気づかれないでいた「暗号」のようなもの。著者が見出したのは、1500年もの長きにわたり日本文化に強い影響を与え続けてきた「法華」でした。法華経の影響は、文学、演劇、音楽、舞踊、茶、美術工芸といったあらゆる領域に表れているにもかかわらず、これまでほとんど語られることがありませんでした。 例えば茶の湯は、従来、禅との関係性が強調されてきました。しかし、著者は千利休が法華経と日蓮を信奉する法華衆のネットワークの中にいたことを本書で明らかにしていきます。動乱の桃山時代に絢爛たる芸術を開花させた茶人・絵師・職人たちの多くが法華衆だったことは、偶然なのかあるいは必然だったのか。 暗号を解く旅は、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、葛飾北斎ら、近世の日本美術史を彩る巨匠へと向かいます。さらに、仏教発祥の地インド、シルクロードの敦煌莫高窟をめぐりながら、著者の眼差しは日本だけでなくアジアの記憶の深部へと注がれていきます。 現代美術家・宮島達男の著作の編集にも携わってきた著者は、日本を貫いてきた法華思想が今もなお普遍的なメッセージとして世界を魅了する理由を語ります。 他者へと開かれ、生と死の深淵へ人々の洞察をいざない、対立を転換していく「美」。 本書は、日本の底流に脈々と受け継がれてきた「法華」の水脈を辿り直し、今日と未来への可能性を展望するスリリングな日本文化論です。 INDEX メトロポリタンの燕子花 ―プロローグ 第1章 「琳派」という系譜―私たちが思う「和風」の誕生 ふたつの屏風/尾形家と宮中ファッション/放蕩息子の改心/江戸前期のアイノカタチ/クリエイターの〝理想の家〟/設計変更された新町屋敷/〝発見〟される美/MUJIのルーツ/メメント・モリ/アップデートされる光悦 第2章 茶の湯の成立―室町時代のゴージャス 「チャ」系と「テ」系/将軍家の喫茶/喜びて茶を啜る/和漢の境をまぎらかす/自己を統御する力/茶の湯とミサ/利休の師/「名物」の旧蔵者と時価/「本能寺の変」で消えた名物 第3章 利休と法華―茶の湯と法華の意外なつながり 黄金の茶室/本能寺の円乗坊宗円/受取人の秘密/泥に咲く蓮華/信長の宿所/千家再興/京都十六本山会合/禁中のパティシエ 第4章 桃山文化の原動力―なぜ動乱の世に美が開花したか ラングドン教授の指摘/インド・メダイヨン/モノクロームの本尊/錚々たる豪華キャスト/紛争を転換する/娑婆即寂光/「題目の巷となれり」/発端となった法論/非暴力という選択/「中庸」という着地点/「宗教的なもの」への飛翔 第5章 光悦の実像をさがして―時代を動かしたプロデューサー 信長に直訴した女/法華町衆の倫理観/〝ママの遺伝子〟を運ぶ/日蓮が重視した「人格の錬磨」/「目利き」の眼光/通説を遠ざける/サロン文化と法華/『鹿苑日録』の光悦/鷹峯をめぐる謎/本阿弥家と徳川家/禁中並公家諸法度/宮廷文化の揺籃 第6章 タゴールが見た「蓮」―インド・ルネサンスと日本 法華経を詠んだ歌/能に見る法華思想/光悦と日蓮遺文/〝再発見〟された光悦/ベンガル・ルネサンス/「Life of my life,」/岡倉天心との接点/釈尊の思想とタゴール 第7章 目覚めた人―思慮ある人は、奮い立ち、努めはげめ 地下水脈の源流/中道主義/「一本の矢」/暴虐のアショーカ/ガンディーと法華経/国章と国旗に刻まれたもの/われわれの未来の秘密 第8章 敦煌莫高窟―アジアの記憶の古層をたどって 法華経の成立/シルクロードの深夜特急/一九世紀最後の年/記憶の古層/仏教東漸/武寧王の子孫/感染症と大仏 第9章 道成寺伝説―最古のエンターテインメント 日出処の天子/西の敦煌と東の法隆寺/細部を磨いて加工する/ストーカー殺人事件/女性の希望となった経典/ユーラシアに刻まれた意匠 第10章 「風神雷神図」異聞―屏風絵のなかに隠されたもの 謎多き絵師/尾形光琳の秘めごと/莫高窟壁画との類似性/史上最大のスペクタクル/阿仏房さながら宝塔/ダビデの曾祖母/三草二木の譬え/宗達へのオマージュ/二仏並座の儀式 第11章 北斎「Big Wave」―一瞬のなかにひろがる永遠 一刹那の変化相/不死の門は開かれた/「瞬間」と「永遠」/変化し続けた人 第12章 ガジェットの仏陀―受け継がれる〝法華芸術〟 一夜の宗教劇/洗面器の宇宙/「三つのコンセプト」/究極の実在/億劫の辛労を尽くす/太陽と蓮華/ART in You/「不確実性」の創造力 千年紀への曙光―エピローグ あとがき 書名:『蓮の暗号 ―〈法華〉から眺める日本文化』 著者:東晋平 ページ:352ページ 製本:上製本 サイズ:四六判(188×130mm) 装丁:矢萩多聞 ISBN:978-4-908122-20-0 2022年4月下旬刊行
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指田菜穂子『日本文学大全集 1901-1925』
¥2,500
「絵で百科事典をつくる」という発想のもと、言葉から連想されあらゆる事象を一枚の画面に緻密に描き込む芸術家・指田菜穂子。その1冊目となる作品集です。 今回、指田が選んだテーマは日本文学でした。1901(明治三十四)年から1925(大正十四)年に発表された小説25篇を選び出し、その登場人物を作品名としたシリーズ「日本文学大全集」を生みだしました。絵画の主題は小説が発表された「年」です。小説の内容だけでなく、その年に起こった事件や話題となった人物、商品といったさまざまなイメージが絵画化され、その年の世相を表現します。 また、全ての作品には、絵の細部に何が描き込まれているかがわかる図解と文字による解説がつけられます。解説は絵の描き込みに比例して圧倒的な文字数となり、通常の判型には収まりませんでした。そこで片観音折り・Z折りという製本を随所にとりいれる特殊なアートブックとなりました。作品集の鑑賞者は「絵」と「文字」による膨大な情報から、約百年前の時代の姿に迫ることとなります。文学と歴史を扱いつつも、文学でも歴史でもない新しい何か―絵画による文学全集は、私たちにどんな驚きを与えてくれるのでしょうか。 解説には、日本文学研究者のロバートキャンベルを迎え、指田による「日本文学大全集」の魅力を掘り起こします。 INDEX 絵画作品としての日本文学大全集 指田菜穂子 作品・図解 日本文学大全集 明治三十四年の女 恵美耶 [中村春雨『無花果』] 日本文学大全集 明治三十五年の女 お重 [広津柳浪『雨』] 日本文学大全集 明治三十六年の女 小山 [管野須賀子『絶交』] 日本文学大全集 明治三十七年の男 春麿 [大倉桃郎『琵琶歌』] 日本文学大全集 明治三十八年の男 霧島 [小栗風葉『玉の輿』] 日本文学大全集 明治三十九年の男 八郎 [大塚楠緒子『交通遮断』] 日本文学大全集 明治四十年の女 妙子 [泉鏡花『婦系図』] 日本文学大全集 明治四十一年の男 “兄” [伊藤左千夫『隣の嫁』] 日本文学大全集 明治四十二年の女 三千代 [夏目漱石『それから』] 日本文学大全集 明治四十三年の男 木村 [森鷗外『食堂』] 日本文学大全集 明治四十四年の女 三輪 [田村俊子『あきらめ』] 日本文学大全集 明治四十五年の女 “N港の女” [摩文仁朝信『許嫁と空想の女』] 日本文学大全集 大正二年の女 水枝 [素木しづ『松葉杖をつく女』] 日本文学大全集 大正三年の子ども “女の児” [志賀直哉『児を盗む話』] 日本文学大全集 大正四年の男 平吉 [芥川龍之介『ひょっとこ』] 日本文学大全集 大正五年の男女 “大勢の人” [田山花袋『時は過ぎゆく』] 日本文学大全集 大正六年の男 浩 [宮本百合子『日は輝けり』] 日本文学大全集 大正七年の男 貝島 [谷崎潤一郎『小さな王国』] 日本文学大全集 大正八年の女 道子 [牧野信一『爪』] 日本文学大全集 大正九年の男 浩二 [吉屋信子『地の果まで』] 日本文学大全集 大正十年の男 “忰” [内田百閒『件』] 日本文学大全集 大正十一年の男 “主人” [中西伊之助『不逞鮮人』] 日本文学大全集 大正十二年の男 北川 [江戸川乱歩『恐ろしき錯誤』] 日本文学大全集 大正十三年の男 “背中を見せてゐる男” [藤澤清造『ウヰスキーの味』] 日本文学大全集 大正十四年の女 “妻” [細井和喜蔵『モルモット』] 歴史の河床に杭のように打ち込まれる「一年間」ロバート キャンベル 作家略歴 作品一覧
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梅津庸一『ラムからマトン』
¥2,200
作家としての作品制作のみならず、批評、展覧会企画、アーカイブ、メディア活動など、年を追うごとに活動領域を広げ、トリックスターとしての活躍が目覚ましい梅津庸一。 書籍『ラムからマトン』では、梅津のデビューから2015年頃までの活動にフォーカスし、気鋭の批評家や作家らが「梅津庸一とは何者か?」を明らかにしていくモノグラフである。 梅津の原点ともいえる活動やコンセプトを踏まえることで、その後、梅津がパープルームを含む多彩な活動に展開していく力学かがわかる貴重なドキュメントとなっている。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 2015年に刊行してから約6年、おかげさまで2021年11月に重版(2刷)の運びとなりました。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 1982年生まれの現代美術家・梅津庸一の存在感は、ここ数年、非常に高まっています。実作での評価はもちろんのこと、その鋭利でイメージ豊かな言説や、私塾「パープルーム予備校」の創設は、多くの人を巻き込みながら、美術界にひとつのうねりをおこしています。 梅津の作品は、近代洋画の様式から受験絵画メソッドなどをベースに、柔らかな色彩に溢れた官能的なものですが、その背後には一貫したコンセプトが流れています。それはデビュー作となる2005年の《フロレアル(わたし)》にすでにあらわれており、その後もバリエーションを加えながら、現在まで深化し続けています。 タイトルの『ラムからマトン』には、「ラム」(子羊の肉=デビュー時)から「マトン」(成長した羊の肉=現在)までという意味が含まれています。同様に、この本には、デビュー作から現在に至るまでの代表作をカラー図版で掲載しています。 そして、それら梅津の作品や活動に対し、気鋭の評論家やクリエイターたちがそれぞれの視点から文章を寄せていただいたのがこの書籍です。1980年代生まれを中心とした、間違いなく今後の美術批評を担うことになる論客たちによるテキストは、いかに梅津庸一を読み解き、美術に新たな展望を与えるのでしょうか。 加えて、梅津自身によるテキストで、多くの批評家に注目を浴びた「優等生の蒙古斑」も再収録。こちらも必読です。 また、デザインには『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2014)での美しい装丁が記憶に新しい木村稔将さんを招き、上製本+スリーブケースの豪華なつくりとなりました。ケースに貼られた表紙絵は全7パターン。アートブックともいえるような美しい仕上がりになっておりますので、ご期待ください。 書名:『ラムからマトン』 編著:梅津庸一 執筆:荒木慎也、岸井大輔、坂本夏子、新藤 淳、筒井宏樹、原田裕規、星野 太 モノクロ/カラー、96ページ(カラー16/モノクロ80) 本体:A5 変形(190×140mm) ISBN:978-4-908122-03-3 2刷の重版を記念して、表紙の絵柄3パターンを新規で作成いたしました。 初版時につくったA〜Dの4パターンに加え、今回、E〜Gが新たに誕生しました。 A-「智・感・情・A」バージョン(自画像) B-「早春」バージョン(表現主義風、風景画) C-「ドナちゃん」バージョン(女性の顔) D-「第17話、血液、太陽いっぱい」バージョン(水彩、線描) E-「フロレアル」バージョン(足) F-「霊魂」バージョン(手に炎) G-「霞ヶ浦航空飛行基地」バージョン(戦闘服) ご希望がある場合は、備考欄に希望の表紙パターンをご記入ください。 ※なお、数量に限りがありますので、それぞれなくなり次第、販売を終了いたします。 【目 次】 ラムからマトン 梅津庸一 美術予備校とヴィジュアル系 荒木慎也 蒙古斑と美術の余白 原田裕規 演劇ではなく絵画である 岸井大輔 梅津庸一論─アップデートする「美術」=フェティシズムの空間 筒井宏樹 無数の筆触が「私」を構成する─梅津庸一の作品(2005-2015) 星野太 梅津庸一のアトリエ観察から 坂本夏子 鏡とアザと花粉と─梅津庸一と美術史の亡霊たち 新藤淳 優等生の蒙古斑 梅津庸一 作品リスト プロフィール
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『近代美術史テキスト』+『現代美術史日本篇1945-2014』セット
¥2,200
中ザワヒデキによる『近代美術史テキスト』と『現代美術史日本篇1945-2014』のセット販売です。 『近代美術史テキスト』 1989年に発行されて以来、すでに22刷(2019年12月)となるベストセラー。A6判変(150×105mm)、44ページというポケットサイズの本ですが、驚くことにテキスト、図版まですべてが中ザワヒデキの手書きからなる近代美術史テキストです。扱う範囲は、1874年の印象派誕生から1980年代のイラストレーションの動向まで、約100年の近代美術史となっています。サイズ感や価格の安さ、中身の強烈なオリジナリティなどから、手にとればたいていの人が欲しくなる名著です。 『現代美術史日本篇 1945-2014』 岡本太郎、横尾忠則、草間彌生から、村上隆、会田誠、奈良美智、チン↑ポムまで、戦後から現在にいたる約70年間の現代美術史を一気読み! 同書は2008年に初版が発行されましたが、国内外の美術愛好家からのニーズも高く、瞬く間に予定出版数は完売。今では入手困難なものとなっています。筆者自身「日本で唯一の現代美術正史」と語っていますが、戦後から現在までを満遍なくカバーする現代美術通史は、他に例がなく、多くのファンの声に後押しされるようにして今回の刊行となりました。今回の発行にいたったのは、2008年から現在に至るまでに 現代美術に新たなムーブメントが起こったからだと中ザワはいいます。カオスラウンジをはじめとした新たな表現者の活動が、中ザワ独自の循環史観によって解読された第8章があらたに加わりました。また初版で書ききれなかった箇所を全面的にもボリュームアップしており、さらに充実した1冊に仕上がりました。現代アートの初心者から、より深く知識を得たいコアなアートファンまで、楽しめる内容です。 再び、日本現代美術が海外から注目を浴びつつある今だからこそ、戦後から現代に至るまでの「現代美術史」を理解するための必読の書といえるでしょう。
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リボーンアート・フェスティバル2019 公式記録集―いのちのてざわり
¥2,860
リボーンアート・フェスティバル2019 公式記録集―いのちのてざわり 東日本大震災からの復興を願って開催される芸術祭「Reborn-Art Festival」。 延べ44万人以上が来場した、第2回「Reborn-Art Festival 2019」を完全収録した公式カタログ決定版! 「ART」「MUSIC」「FOOD」の3つの柱で構成されるフェスティバルを 200ページにわたるカラーページで鮮やかに再現。 また、前回に引き続き装丁を手掛けたのはグルーヴィジョンズ。美しいコデックス装や、てざわりのある表紙の加工など、アートブックとしても持っておきたいクオリティに仕上がりました。 今年(2021年)8月から開催される「Reborn-Art Festival 2021-22」とあわせて楽しんでほしい一冊です。 期間限定で特別価格実施中! この機会にご利用ください。 書名:「リボーンアート・フェスティバル2019 公式記録集―いのちのてざわり」 編:リボーンアート・フェスティバル事務局、小林沙友里 ページ:224ページ(カラー200ページ) 製本:コデックス装 サイズ:B5判変形 デザイン:groovisions ISBN:978-4-908122-18-7 言語:日英バイリンガル(一部英語あり) 2021年6月25日刊行 7 月初旬より書店、WEB書店にて販売 リボーンアート・フェスティバルとは? 宮城県の牡鹿半島と石巻市街地を主な舞台とした、「アート」「音楽」「食」を楽しむことのできるお祭りです。2回目となる2019年は、7つのエリアで7組のキュレーター(中沢新一、有馬かおる、小林武史、名和晃平、豊嶋秀樹、島袋道浩、和多利恵津子・和多利浩一)が多様な作家たちと『いのちのてざわり』 に思いを馳せながら、展示をつくりあげました。 今、生まれ変わろうとしているこの場所だからこそ、他では出会うことのない価値や人に出会うことができる。今まで出会うことのなかった自分にさえ、 出会うことができるかもしれません。 「人間も自然の一部と思うところからスタートして、何が正しいのかではなく、どこで響きあえるのか、 それを探しながら進んできて、2回目の本祭を終えることができました。 「いのちのてざわり」という言葉があり、人懐っこかったり、情が深くなったり、王道的だったり、 カウンター的だったり、壮大だったり、なんてことなく見えたり、新しかったり、 懐かしかったり、言葉が美しかったり、言葉を超えていたり。 アーティストもお客さんも、多様に、ある意味勝手に、作品とともに盛り上がっていけた2回目だったと思います。 地元の方々、協力者の皆さん、助けていただいて本当にありがとうございました。 強い力に頼るだけではない、響き合う場づくりを、次もやっていきたいです。」(まえがきより、リボーンアート・フェスティバル実行委員長 小林武史)
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小林正人『この星の絵の具』[上][中]巻セット(セット特別価格)
¥3,340
8%OFF
8%OFF
小林正人『この星の絵の具』[上][中]巻セット(セット特別価格) [上]一橋大学の木の下で [中]ダーフハース通り52 上巻・中巻のセット販売です。 上巻あらすじ 1980〜90年代にかけて、国立のアトリエで描かれた宝石のような初期作品群。 《天使=絵画》《絵画=空》《天窓》《絵画の子》……、といった傑作の数々はいかにして生まれたのか。 小林正人にとって、「画を描くとは?」「絵画とは?」「愛とは?」……。 ひとりの青年が、画と出会い、画家として成長していく姿を、自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第1作。時代を正直に生き、つかみとった〝真実〟だけが言葉となる。 伝説のキュレーター、ヤン・フートに才能を認められ、国際デビューをはたす直前までの「国立時代」を著した〝青春編〟。 中巻あらすじ 「アイ・インバイティッド・ユー……わかるか、マサァト、きみをゲントに呼んだのはきみがかつてやったことが理由ではない。きみがやろうとしていることのためなのだ」。 伝説のキュレーター、ヤン・フートに招かれ、小林はベルギー・ゲントの地に降り立った。 なにもわからず飛び込んだのは、国際的なアートシーンのど真ん中。世界的なアートピープルやアーティストらが交差する開かれた世界で、小林は、ダーフハース通り52番地にスタジオを構え、新たな作品制作にとりかかる。 ゲントの光は芸術家としての眼を開かせ、啓示にも似た直感を得た小林は、やがてオリジナルな絵画スタイルを獲得する。そして、新しいミューズとの出会い……。 異国の地での挫折や成功を経て、自身の芸術を追い求める姿を自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第2作。
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小林正人『この星の絵の具[中]ダーフハース通り52』
¥1,980
上巻『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』の感動を再び! 小林正人による自伝的小説3部作の中巻が、上巻の2倍以上のボリュームでいよいよ発売開始しました! 書名:「この星の絵の具[中]ダーフハース通り52」 著者:小林正人 ページ:368ページ(作品図版等カラー含む) 製本:ソフトカバー サイズ:文庫判 デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-17-0 2020年10月刊行 [内容紹介] 「アイ・インバイティッド・ユー……わかるか、マサァト、きみをゲントに呼んだのはきみがかつてやったことが理由ではない。きみがやろうとしていることのためなのだ」。 伝説のキュレーター、ヤン・フートに招かれ、小林はベルギー・ゲントの地に降り立った。 なにもわからず飛び込んだのは、国際的なアートシーンのど真ん中。世界的なアートピープルやアーティストらが交差する開かれた世界で、小林は、ダーフハース通り52番地にスタジオを構え、新たな作品制作にとりかかる。 ゲントの光は芸術家としての眼を開かせ、啓示にも似た直感を得た小林は、やがてオリジナルな絵画スタイルを獲得する。そして、新しいミューズとの出会い……。 異国の地での挫折や成功を経て、自身の芸術を追い求める姿を自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第2作。 [目 次] 一 屋根なし館長 一九九六年 ヤン・フート ダーフハース通り五二番地 ヨーロッパだあ! 画材屋シュライパー 第一夜 二 マサァト、きみをゲントに呼んだのは…… 第二三回サンパウロ・ビエンナーレ 画のフレームが軋む音 アートってなに? 夜空に描きながら 三 床置きの絵画 収蔵庫の展覧会――オープニング 浦島太郎のスーツケース 四 引っ越し 一九九七年 美術館の工事(アンダー・コンストラクション) 五 画の始め方 イメージとストラクチャー 見たことのない支持体 ピーター・パウル・ルーベンス フランダースの犬 焔(ほのお)、キリスト降下、ダイヤモンド Unnamed #7 六 クレサンキャンバス#二九 一九九八年 七 現実の光――ベートーベンの交響曲第九合唱 一九九九年 ボクシング 八 両眼を開けて! 夏の詩 馬小屋 牧場の女、三本のビーム ルーカスの絵の具、夏の天気 お産 フレーミング 九 修道院ホテル(ポルトアケル・モナストリウム・ホテル)――宮城県美術館プロローグ 十 境界を超えて――Over the Edges 二〇〇〇年 見張り塔(ウォッチタワー) 距離ってなに? 失敗 十一 イタリア A Casa Di │「 〜の家に」 キュリー夫人 十二 藁の上の絵画 ホワイトキューブに光あれ! 十三 S.M.A.K. の個展「A Son of Painting」 二〇〇一年 二度と同じにならない! オープニングデイ 狂ったパーティー 十四 先立未来(せんりつみらい)│Future Perfect ナイン・イレブン ライトニング 秋の歌、静香へ 十五 画の完成の仕方 二〇〇二年 画はどこにある? 十六 新世界 二〇〇三年 この星のモデル 初めてのヌードペインティング 図版 著者プロフィール 1957年東京生まれ。東京芸術大学美術学部油画専攻卒業。1996年サンパウロビエンナーレ日本代表。1997年キュレーター ヤン・フート氏に招かれ渡欧。以降ベルギー、ゲント市を拠点に各地で現地制作を行い2006年に帰国。主な個展:「小林正人展」宮城県美術館(2000)、「A Son of Painting」S.M.A.K(ゲント、2001)、「STARRY PAINT」テンスタコンストハーレ(スウェーデン、2004)、「この星の絵の具」(高梁市成羽美術館、2009)「ART TODAY 2012 弁明の絵画と小林正人」セゾン現代美術館(2012)、「画家とモデル」 シュウゴアーツ(2019)。
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小林正人『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』
¥1,650
画家・小林正人による初の自伝小説。3部作の記念すべき1作目! 「これが小林くんの最初の画ね」。 何も描かれていない真っ白なキャンバスを目の前に、「せんせい」は小林青年にこう言った。 恋心をよせていた音楽のせんせい。 そのヌードを描く絶好の機会を得た小林青年であったが、初めて手にした油絵の具では、目の前に横たわる輝くばかりの裸体をキャンバスに写し取ることができなかった……。 1980〜90年代にかけて、国立のアトリエで描かれた宝石のような初期作品群。 《天使=絵画》《絵画=空》《天窓》《絵画の子》……、といった傑作の数々はいかにして生まれたのか。 小林正人にとって、「画を描くとは?」「絵画とは?」「愛とは?」……。 ひとりの青年が、画と出会い、画家として成長していく姿を、自伝小説の形式で語るビルディングスロマン3部作の第1作。時代を正直に生き、つかみとった〝真実〟だけが言葉となる。 伝説のキュレーター、ヤン・フートに才能を認められ、国際デビューをはたす直前までの「国立時代」を著した〝青春編〟。 書名:「この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で」 著者:小林正人 ページ:160ページ(作品図版等カラー16ページ、モノクロ144ページ) 製本:ソフトカバー サイズ:文庫判 デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-10-1 2018年12月刊行 [目 次] 一 絵画=空 1985-1986 そこに描くんじゃ、遅すぎる!(美しい四角) 周吾 二 太陽に描いてもらう/拾ったパネル クリスマス ホワイト 1989-1990 三 空戦 1990-1991 キャンバスを張りながら手で描く! 空戰をする〝或る場所〟 オープニング (四月十七日) 春の嵐〜作品=音楽 五月三日の朝だった 四 昔々あるところに…… 「小林くん、画、描いてみない?」 新品の絵の具セット 初めての画 先に寝たやつ相手を起こす(眠りと死) 五 絵画の子 1992-1996 新しい光 国分寺の画材屋 明るさについて ライトくん 約四角、約平面のオイル・ウィズ・キャンバス! トワイライト――マジックアワー 一橋大学の木の下で 存在することで失墜していないもの この星の絵の具――たくさんの明るさ 図版 著者プロフィール 1957年東京生まれ。東京芸術大学美術学部油画専攻卒業。1996年サンパウロビエンナーレ日本代表。1997年キュレーター ヤン・フート氏に招かれ渡欧。以降ベルギー、ゲント市を拠点に各地で現地制作を行い2006年に帰国。主な個展:「小林正人展」宮城県美術館(2000)、「A Son of Painting」S.M.A.K(ゲント、2001)、「STARRY PAINT」テンスタコンストハーレ(スウェーデン、2004)、「この星の絵の具」(高梁市成羽美術館、2009)「ART TODAY 2012 弁明の絵画と小林正人」セゾン現代美術館(2012)、「Thrice Upon A Time」 シュウゴアーツ(2016)。
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『金子國義スタイルブック』
¥1,760
金子國義がこの世に遺したスタイリッシュな言葉の数々を、 名作、未発表作など約45作品とともにお届けします。 2015年3月、画家・金子國義が逝去しました。この稀有な画家が残した名作の数々は、これからも時代を超えて愛され続けていくことでしょう。歌舞伎の舞台美術家のもとで修行し、日本の伝統芸能やその美意識を徹底的に学びながら、同時にヨーロッパの文化にも精通していた金子國義の作風は、唯一無二の魅力に溢れており、今後ますますグローバルな注目を集めるに違いありません。 金子作品の最大の魅力は、画家の存在そのものが作品世界に強く投影されていることです。「人生を謳歌しよう」「美しく生きよう」という姿勢に貫かれた哲学、いわば金子スクールの教えは、そのお弟子さんや私淑していたアーティストのなかで確実に引き継がれているのです。 本書では、金子國義がそうした人々に向けて実際に発した言葉やメッセージを、スタジオ・カネコ協力のもと、関係者への取材を通して集め、代表作とともに掲載します。その内容は、芸術に限ったものではありません。かつて日本の家庭でごく自然に教えられ、私たちが身につけていった「所作」「おもてなしの心」、そして「美しく生きるためのヒント」などが、金子國義ならではのセンスやユーモアに彩られた言葉として現れます。 みなさんに、この本を日々の生活のなかに取り込んでいただくように、バッグに入れて持ち歩けるハンディなサイズに仕上げました。このハンドブックを日々眺めながら、金子美学の詰まった言葉や絵の数々が、「あなただけの美しいスタイル」をつくるうえで、お役にたつことを祈っております。 読者の方からの声を一部ご紹介します。 「大変美しい本でとても良かったです」(女性) 「最近お気に入りの《唇に蝶々》が載っていてよかった。紙も装丁も良くていい本でした」(男性) 「とても素敵な本です」(男性) 「金子先生のステキなご本(といよりも作品のような)をありがとうございます。先生のお言葉を旨に少しでも、美しく生きていきたいと思いました」(女性) 書名:『金子國義スタイルブック』 編著:金子修、岡部光 カラー/モノクロ、112ページ(カラー96/モノクロ16) 日英バイリンガル/Bilingual Edition(Japanese / English) ハードカバー 本体:四六判変 デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-05-7
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宮島達男『芸術論』
¥1,760
すべての人がアートと共に生きる世界をめざす「Art in You」 宮島達男の最新の芸術論が詰まった箴言集 1988年、最も権威ある国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の若手作家部門「アペルト88」にて世界の注目を浴びて以来、国際的な活躍を続ける宮島達男。1999年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本代表として参加し、その評価を確実なものにしました。これまでの作品発表は、世界30カ国250カ所以上に及びます。 2000年代に入ってからは、2006年〜2016年に東北芸術工科大学副学長、2012年〜2016年に京都造形芸術大学副学長と教育の現場に立ち、後進の指導にあたってきました。 とりわけ教育に関わったこの10年は、作品発表とは違って、「言葉」を用いてメッセージを伝えることが多く、それをまとめたいという想いからできあがったのが、この書籍です。 構成は、大きく3つの章にわかれています。 第Ⅰ章「哲学の深淵を語る」は、宮島が信頼を置く編集者・東晋平によるインタビューをもとに、新たに書き下ろされました。宮島の作品に通底する「3つのコンセプト」=〈それは、変化し続ける/それは、あらゆるものと関係を結ぶ/それは、永遠に続く〉の解説にとどまらず、さらにその深層にありながら、これまで発表されてこなかったフランス思想や仏教思想のルーツにまで迫った、まさにアーティスト宮島達男の核となるテキストです。 第Ⅱ章「日々の言葉」では、2010年~16年までの宮島のツイートから、「アーティストとしての心得」や「考えるためのヒント」などが平易な言葉で語られ、第Ⅲ章「芸術と平和」では、2001年~15年に新聞などに寄稿したテキストの数々などをまとめました。 また、作品制作の過程で生まれるアイデアスケッチやドローイングなど、書籍初収録となる貴重な図版も多数掲載し、言葉のみならずビジュアルでも、宮島芸術の根幹に触れることができる書籍となっています。 近年、宮島は前述の3つのコンプトに加え、「Art in You」という概念を提唱しています。これは、アーティストだけがアートの主体者ではなく、あらゆる人にアート的な感性があり表現が可能であるという意味であり、すべての人がアートを通じてよりよい人生を送ることを提示しているのです。この本を通じて、読者のみなさまがそれぞれの「Art in You」を体得するきっかけになりますように。 書名:『芸術論』 著者:宮島達男 編集:東 晋平、大森貴久(東晋平事務所) 仕様:ハードカバー(上製本) サイズ:四六判 ページ:136ページ デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-07-1 2017年3月3日刊行 重版出来/2刷:2020年10月15日 [目 次] Ⅰ 哲学の深淵を語る 「それ」とは何か 三つのコンセプト 作品(ドローイング) Ⅱ 日々の言葉 アーティストとして生きる君へ 創造の海 思考する石 Ⅲ 芸術と平和 被爆「柿の木」二世根づく 旭日興年 芸術と評価 卒業 子どもにもっと芸術を アーティストとして生きること 教育に携わる理由 作品の名前 マチュピチュと東北R計画 エイズ孤児と芸術の出会い 冬は必ず春となる Art in You 枯山水における「見立て」 芸術と平和学 ドローイングとデッサン 作品の永遠性と保存 アーティストの未来 作品リスト あとがき [著者プロフィール] 宮島 達男/Miyajima Tatsuo 現代美術家。1986年東京芸術大学大学院修了。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ、新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催。世界30カ国250カ所以上で作品を発表している。1993年ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年ロンドン・インスティテュ―ト名誉博士授与。2006-2016年 東北芸術工科大学副学長。2012-2016年京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」など。また、長崎で被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらう活動、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も推進している。
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中ザワヒデキ 『近代美術史テキスト―印象派からポスト・ヘタうま・イラストレーションまで―』
¥550
1989年に発行されて以来、すでに22刷(2019年12月)となるベストセラー。A6判変(150×105mm)、44ページというポケットサイズの本ですが、驚くことにテキスト、図版まですべてが中ザワヒデキの手書きからなる近代美術史テキストです。扱う範囲は、1874年の印象派誕生から1980年代のイラストレーションの動向まで、約100年の近代美術史となっています。サイズ感や価格の安さ、中身の強烈なオリジナリティなどから、手にとればたいていの人が欲しくなる名著です。 書名:『近代美術史テキスト―印象派からポスト・ヘタうま・イラストレーションまで―』 著者:中ザワヒデキ モノクロ、44ページ サイズ:150×105mm 1989年10月15日発売 トムズボックス刊 【目 次】 序 第1章 印象派 第2章 野獣主義と立体主義 第3章 ピカソ「ゲルニカ」とマチス「ナスターチウムの花と≪ダンス≫」 第4章 戦前期20世紀美術 第5章 「ダダ」とは お馬ドウドウの意味 第6章 戦後アメリカ美術の誕生 第7章 ジョーンズとジョーンズ以後 第8章 フォンタナ「空間概念」 第9章 イヴ・クラインと三木富雄の時代 第10章 現在美術 (その1) 第11章 現在美術 (その2) 第12章 ネオ・ジオの真意 第13章 シミュレーション100%:ジェフ・クーンの「芸術?」 第14章 ヘタうま・パルコ・反イラスト 第15章 スージィー甘金とイラストの心 アーティスト名索引
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中ザワヒデキ『現代美術史日本篇 1945-2014』
¥1,650
岡本太郎、横尾忠則、草間彌生から、村上隆、会田誠、奈良美智、チン↑ポム、カオスラウンジまで、戦後から現在にいたる約70年間の現代美術史を一気読み! 同書は2008年に初版が発行されましたが、国内外の美術愛好家からのニーズも高く、瞬く間に予定出版数は完売。今では入手困難なものとなっています。筆者自身「日本で唯一の現代美術正史」と語っていますが、戦後から現在までを満遍なくカバーする現代美術通史は、他に例がなく、多くのファンの声に後押しされるようにして今回の刊行となりました。今回の発行にいたったのは、2008年から現在に至るまでに 現代美術に新たなムーブメントが起こったからだと中ザワはいいます。カオスラウンジをはじめとした新たな表現者の活動が、中ザワ独自の循環史観によって解読された第8章があらたに加わりました。また初版で書ききれなかった箇所を全面的にもボリュームアップしており、さらに充実した1冊に仕上がりました。現代アートの初心者から、より深く知識を得たいコアなアートファンまで、楽しめる内容です。 再び、日本現代美術が海外から注目を浴びつつある今だからこそ、戦後から現代に至るまでの「現代美術史」を理解するための必読の書といえるでしょう。 書名:『現代美術史日本篇 1945-2014』 著者:中ザワヒデキ著 モノクロ/カラー、136ページ ISBN:978-4-908122-00-2 サイズ:AB判(210×257mm) 日英バイリンガル 1刷:2014年11月21日 2刷:2015年3月5日 3刷:2015年9月18日 4刷:2016年9月3日 5刷:2018年4月15日 6刷:2020年5月15日 【目 次】 Chapter 1 1945-1954 シュルレアリスムと多様性ー敗戦後の美術状況 1a 美術家の戦争責任問題 1b ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加 1c 「重い手」、レアリスム論争、岡本太郎 1d ルポルタージュ、密室、瀧口修造と実験工房 Chapter 2 1955-1959 前衛ー具体、九州派、アンフォルメル 2a 具体 2b 九州派 2c 前衛と地方性 2d アンフォルメル旋風 2e アンフォルメルと東洋 Chapter 3 1960-1963 反芸術ーネオ・ダダとハイレッド・センター 3a ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ 3b 読売アンデパンダン展の廃止 3c ハイレッド・センター 3d 日本のポップ・アート 3e ゼロ次元 Chapter 4 1964-1979 還元主義と多様性ーもの派、概念派、美共闘 4a 日本概念派(1)オブジェを消せ 4b 日本概念派(2)トリックス・アンド・ヴィジョン 4c もの派 4d 美共闘、ポスト概念派、ポストもの派 4e 絵画回帰 Chapter 5 1980-1984 脱前衛ー80年代アヴァンギャルドと日本グラフィック展 5a 日本のポストモダニズム: 内部と外部 5b 内部: 80年代アヴァンギャルドと新表現主義 5c 外部: ヘタうまと日本グラフィック展 5d ポストモダニズムと循環史観 Chapter 6 1985-1994 再現芸術ー関西ニューウェーブから東京シミュレーショニズムへ 6a 森村泰昌と関西ニューウェーブ 6b 東京シミュレーショニズム前夜 6c 東京シミュレーショニズム(1)村上隆と中村政人 6d 東京シミュレーショニズム(2)小沢剛と会田誠 Chapter 7 1995-2009 マニエリスムと多様性ー悪い場所、スーパーフラット、マイクロポップ 7a 快楽主義とマニエリスム 7b ひそやか系、スタジオ食堂、昭和40年会 7c 悪い場所、スーパーフラット、方法 7d 美と価値とインフラ 7e マイクロポップ、美術内美術、チン↑ポム Chapter 8 2010-2014 搾取前衛ーフクシマ前後の表現主義と反表現主義 8a 二艘木洋行と第四表現主義前夜 8b カオス*ラウンジと2010年の風景 8c フクシマ以後の表現主義的動向 8d フクシマ以後の反表現主義的動向
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荒木慎也『石膏デッサンの100年―石膏像から学ぶ美術教育史』
¥2,420
美大受験生たちの血と汗と涙の結晶 「石膏デッサン」とは、何だったのか? 石膏像を巡る苦闘の歴史がわかる、石膏デッサン研究の決定版!! 美大受験をする者なら誰もが経験する石膏デッサン。とりわけ美術予備校において、その描画メソッドは時代とともに進化を遂げており、短期間の集中的な修練で見違えるほどの優れたデッサンを生み出すことができるようになっている。 しかし、いざ美術大学に入ってみると石膏デッサンは不当な扱いとされているのも実情である。教授によっては、「石膏デッサンの技術は、創作活動には有害だ」とすら指導する。美大受験に必須であった「石膏デッサン」は、大学では一転不要なものとされ、学生はその狭間で立場を問われる。 はたして、石膏デッサンは必要なのか? こうした議論は、教育者側からも作家側からも続いてきたが、いまだにその決着を見ることはない。「石膏デッサンは、制作における基礎体力をつける筋トレである」とか「ものを見る力をつけるにはこれほどいい教材はない」という肯定派がいる一方で、「石膏デッサンは、アカデミズムの悪しき因習で、自由で創造的な創作活動を阻害するものだ」「技術はもはやアートには必要ない」という否定派の意見も根強い。 本書の目的は、こうした膠着状態にある石膏デッサンへの言説を、その受容からいま一度振り返ることで、有効な議論へと発展させ、より構築的な美術教育史の理解を進めることである。前半の1章から3章で石膏像について論じ、後半の4章から6章で石膏デッサン教育について論じるという構成をとっている。そのなかで、これまで正体が不明とされてきた石膏像のオリジナル彫刻、日本における石膏像収集の歴史、近代と現代での石膏デッサンの違い、日本で石膏デッサン教育が普及した経緯、などの様々な事象を明らかにする。 これらの議論を通じて、石膏像の100年を、絶えざる価値観と制度の変転の中で繰り返し新しい定義を与えられてきた流動的な歴史として再定義し、日本における西洋文化の受容が、単に「進んだ」西洋の価値観を日本に不完全に移植したものでなく、その曲がりくねった歴史で構築された、対話的で越境的な石膏デッサン言説の生成過程であることを示していく。 不毛な「石膏デッサン是非論」の先にある新たなアートの創造のためにも、これまであまり日の当たらなかった「石膏像と石膏デッサン」について深く掘り下げることで、近代の美術教育が遺してくれた蓄積を反芻する試みである。教育者はもちろんのこと、美大受験を控えた受験生、さらには日々制作と向き合うアーティストに読んでもらいたい。 ※なお、本書は、2016年に三重大学出版から刊行された「石膏デッサンの100年」の改訂版である。初版300部という刷部数ということもあり数ヶ月で完売となったが、その後再販の予定もなかった。しかし、同書を届けるべき人がまだ世に多くいることを考え、著者と相談のうえ、アートダイバーにて改訂版を制作し、引き続き販売を続けることとした。快く改訂版の販売を許諾してくれた三重大学出版にこの場を借りてお礼を申し上げます。 著者:荒木慎也 仕様:ソフトカバー(並製本) サイズ:A5判変 ページ:256ページ デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-08-8 2018年2月1日刊行 [目 次] 序 問題の所在 西洋画教育の中の石膏像 これまでの研究 本書の射程 1章 パジャント胸像とは何者なのか 2体のベレニケ胸像 「バシャント」から「パジャント」へ 2章 美の規範としての石膏像 古代美の規範としての石膏像 帝国主義と石膏像陳列場 美術アカデミズム モダニズムとデッサン 3章 工部美術学校と東京美術学校の石膏像収集 明治初期の石膏像導入 工部美術学校の石膏像 東京美術学校の『旧台帳』 海外から輸入した石膏像 石膏製作業者の登場 使われた石膏像・使われなかった石膏像 ボストン美術館の寄贈品 コレクションの不連続性 4章 芸術の本質としてのデッサン 工部美術学校の擦筆画教育 黒田清輝の石膏デッサン論 東洋の線と芸術の本質 石膏デッサンのモダニズム 石膏デッサンの規格化 教育の根幹としての石膏デッサン 5章 反・石膏デッサン言説 批判言説の源流 美術アカデミズム・リバイバル 教官と学生の対立 野見山曉治の入試改革 宮下実の石膏デッサン論 6章 美術予備校の石膏デッサン 美術予備校の登場 デッサンの神様・安井曾太郎 石膏デッサンの「デッサン」 白い石膏デッサン ポスト石膏デッサン時代 現代美術の中の石膏デッサン 21世紀の石膏デッサン教育 結び あとがき 改訂版に向けての追記 引用資料 [巻末資料]東京藝術大学絵画科油画専攻入学試験問題 著者プロフィール 荒木慎也/ Shinya Araki 1977年名古屋生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。2013年に博士(学術)。東京大学教養学部国際ジャーナリズム寄付講座特任助教を経て、現在は成城大学、多摩美術大学、武蔵大学非常勤講師。専門は近現代美術史、美術教育学。
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筒井宏樹『スペース・プラン 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977』
¥2,530
ここ数年のアート・コレクティヴ(集団によるアート活動)隆盛のなか、 再発掘された鳥取の前衛集団「スペースプラン」。 1960-70年代に展開された、知られざる活動の詳細を貴重な資料群で紹介し、 日本の現代美術史のもうひとつの展開を追いかける。 1968年、鳥取に生まれた前衛芸術家集団スペース・プラン。その構成メンバーとなる谷口俊(1929~)、フナイタケヒコ(1942~)、山田健朗(1941~)らによる活動は、単純な色と形に還元された立体物に代表されるミニマリズムとして特徴づけられる。作品発表は市民会館や画廊だけでなく、鳥取市の各地での野外展を積極的に試みた。とりわけ第2回展における鳥取砂丘での作品展示は、壮大なスケールであったが、地元のメディア等では注目を集めたものの、全国的に広く紹介されることはなかった。 本書は、そんなスペース・プランの記録写真や印刷物を可能な限り収録。ミニマリズムという現代美術の出発点ともいえる形式が、鳥取というローカルな地域でどのように展開されたのか。60~70年代の鳥取の文化状況を踏まえながら、歴史的文脈のなかで、その活動を検証していく。 書名:「スペース・プラン 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977」 編著:筒井宏樹 ページ:96ページ 製本:中とじ、カバーあり サイズ:A4判 デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-14-9 2019年4月刊行 言語:日本語(一部、日英バイリンガル) INDEX 論考│Text スペース・プランとその時代 筒井宏樹 ステートメント│Statement 1 檄文「脱出計画No.1 新しい芸術グループ結成のために」(1968.11.10) 2 SPACE PLAN NO.2 空間化計画展 3 SPACE PLAN NO.2 1969年 4月鳥取砂丘にて 4 船井武彦・計羽孝之 2人展/1969.10.1-10 5 SPACE PLAN NO.3 異常空間の提示 6 ’71 UNTITLED EXHIBITION(無題展) 7 「現代美術を語る会」を終えて 図版│Plates 第1章 スペース・プラン前夜:1950~60年代の鳥取美術 第2章 1968年:スペースプランの結成と起点としてのミニマリズム 第3章 SPACE PLAN NO.1 空間化計画展 第4章 鳥取砂丘におけるミニマリズムの野外展 第5章 ミニマリズムの追求:「物の姿」および「異常空間」 第6章 第4回展~第8回展:実験的な試み 第7章 第9回展~第13回展:予言する乳母車 スペース・プラン プロフィール│SPACE PLAN Profile 資料│Appendix 1 鳥取青年美術家集団の歩み 2 鳥取市の文化行政に対する要望と提案 3 北白川美術村にて聞く! 4 新聞資料 用語集│Glossary 年表│Chronology 参考文献│Bibliography
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『旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか』
¥1,980
アール・デコ・リヴァイヴァル! 激動の時代を越えて守り抜かれた奇跡の建築「旧朝香宮邸」。 その歴史がひもとかれたとき、 “美のタイムカプセル”は開かれ、 アール・デコの栄華が再び眼前に姿をあらわす! 「アール・デコ」様式で統一された優美なデザインで、他の美術館とは一線を画する東京都庭園美術館。2015年には国の重要文化財に指定された同館は、都心とは思えない緑豊かな庭園とともに多くの来館者を魅了しています。 みなさんは、この美術館がかつて「朝香宮家」という皇族の邸宅であったことをご存知でしょうか。 建物が誕生したきっかけは、朝香宮ご夫妻がパリに滞在中の1925年に訪問した「アール・デコ博覧会」でした。当時のデザインや芸術の精華に魅了されたご夫妻は、東京にアール・デコの館を建てることを思い立ち、帰国後、その建設に情熱をもって取り組みます。主要部分の内装は、当時のフランスを代表する装飾美術家であるルネ・ラリックやアンリ・ラパンに依頼、基本設計は宮内省内匠寮の建築家だった権藤要吉が担当することで、朝香宮邸は当時の最先端の様式を同時代に採り入れた建築となりました。 戦後、朝香宮家がこの館を去った後、新たな主となったのは吉田茂でした。旧朝香宮邸は外務大臣公邸(のちに首相公邸)として使用され、サンフランシスコ講和条約締結の構想を含む、戦後の重要な局面における舞台の一つとなりました。吉田茂が去った後も、「旧朝香宮邸」は迎賓館として外国の要人を迎え入れたり、一般に開かれた結婚式場として利用されたりと、その時々に主を変え、利用者に愛されながら、今日まで守られた奇跡の建築です。 本書では、この世界でも稀に見るアール・デコ様式の館を往来した人々の歴史と記憶を、「旧朝香宮邸物語」としてまとめました。1933年の朝香宮邸竣工当時の貴重な写真の数々とともに、「旧朝香宮邸」を巡る物語をお楽しみください。 近年、再評価の機運が高まる「アール・デコの館」の魅力に迫り、また東京都庭園美術館がこの建物をどのように活用、保存し、未来へとつなげていくかの出発点となる書籍となっています。 書名:『旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか』 編集:東京都庭園美術館 仕様:ハードカバー(上製本) サイズ:四六判 ページ:212ページ(カラー口絵16ページ、モノクロ196ページ) デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-09-5 2018年4月15日刊行 [目 次] はじめに 一章 朝香宮家の人と暮らし 一九〇六―一九四七 -朝香宮家のはじまり -フランスへのグランドツアー -パリでの生活 受領証綴 -妃殿下のファッション -帰国〜アール・デコの館の建設 -館での華やかな暮らし -朝香宮邸としての終焉 [インタヴュー]大給湛子(朝香宮鳩彦殿下第二女子)に聞く「朝香宮邸の日々」 [コラム]元侍女の回想―「御候所」 二章 アール・デコが東京にやってきた 一九二五―一九三三 -アール・デコ博覧会 -アンリ・ラパンとの出会い -謎多き彫刻家ブランショ -内匠寮の職人技と、ラリックのガラスレリーフ扉 -ラジエーター・カバーの優れたデザイン -マックス・アングランのエッチング・ガラス -海外の動向との接点 [コラム]重要文化財 茶室「光華」 [インタヴュー]多田正信(元宮内省内匠寮匠生)に聞く「朝香宮邸の設計」 三章 朝香宮邸を守り抜いた人々 一九四七―一九八一 -戦後の旧朝香宮邸―皇籍離脱・朝香宮から朝香家へ -吉田茂・目黒首相公邸 -吉田茂とアール・デコの館 -白金迎賓館 -白金迎賓館中田虎一館長 -白金プリンス迎賓館―現役として使用されていた旧朝香宮邸の家具 [コラム]マーブルプール 四章 東京都庭園美術館の誕生 四章 東京都庭園美術館の誕生 一九八三― -美術館として再出発―保存と活用の間での試行錯誤 -展覧会事業と建物公開事業 -保存と活用の両輪で -調査研究と新発見 -外壁工事 -タイルの修復 -ウインターガーデンの公開 -バラバラだった「香水塔」 -美術館名の由来―三つの庭園 -ひっそりと佇む三つの防空壕 [コラム]小客室アンリ・ラパン作壁画の修復について 五章 「アール・デコ」リヴァイヴァル 一九八七― -伝説の装飾 -リヴァイヴァル前夜 -ポストモダン -ブールデル/デュフェ展 -リヴァイヴァル以後 [論考]日本近代の建築と装飾、あるいは「アール・デコ的」展開を巡って [付録] -白金今昔―白金の土地を巡る物語 -白金御料地での林間学校 注釈 初出・執筆者一覧 執筆者略歴 あとがき
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中村ケンゴ『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』
¥1,980
20世紀末、つまり1989年からゼロ年代までの現代美術シーンを、中村ケンゴ、眞島竜男、永瀬恭一といった3人の作家の視点から語った書籍です。各年に起こったできごとを年表形式にまとめ、それを元に当時のアートシーンを振り返りながら、現在につながる表現の潮流や、アートマーケット、アーティスト・サヴァイバルについてなど、それぞれの体験を通して、今また新たな知見が得られないかを探ります。 さらに共著者には、80年代後半からゼロ年代にわたって『美術手帖』 の編集者としてアートシーンに関わった楠見清、「奈良美智」展など数々のキュレーションを手がける横浜美術館主任学芸員の木村絵理子、そして多彩な執筆活動、企画を行う小金沢智の3名。3人の作家とは違った立場と世代の共著者が参加するこことで、内容に厚みが増しています。 この企画は2012年に美術家・中村ケンゴの呼びかけによって開催されたシンポジウムが元になっています。同シンポジウムはメグミオギタギャラリーと横浜美術館において計2回開催されましたが、中村、眞島、永瀬の3人を核にして、メグミオギタギャラリーの回では楠見清が、そして横浜美術館の回では木村絵理子がゲスト・コメンテーターとして参加しています。なお、当時横浜美術館では「奈良美智展」が開催されており、木村はその担当学芸員でもあり、 同シンポジウムは「奈良美智展」の関連企画として位置づけられました。 書籍化にあたり、上記2回のシンポジウムの記録が大幅に加筆されております。さらに各執筆者による書き下ろしの章が加わり、20世紀末の日本の美術を知るためのコラムも充実させ、インターネット普及前夜である当時の情報を多方向から知る貴重な本になっております。 書名: 『20世紀末・日本の美術ーそれぞれの作家の視点から』 編著:中村ケンゴ 共著:眞島竜男、永瀬恭一、楠見清、木村絵理子、小金沢智 モノクロ、288ページ ISBN:978-4-908122-01-9 サイズ:四六判(単行本サイズ、188×128mm) [ 目 次 ] 第1部 1989―2001 『20世紀末・日本の美術―それぞれの作家の視点から』 中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+楠見清 イントロダクション 1989(平成元)年 ―バブル経済とアーティスト/美術家自身による情報発信/『眼の神殿』の影響力 1990(平成2)年 ―西高東低 1991(平成3)年 ―ポップカルチャーとアート/シミュレーショニズム 1992(平成4)年 ―ネオ・ポップの台頭 1993(平成5)年 ―街中が発表の場となっていく/演劇と編集/ポリティカル・コレクトネス/キーファーに染まる 1994(平成6)年 ―新世代コマーシャルギャラリーの登場 1995(平成7)年 ―日本文化の転換点 1996(平成8)年 ―オルタナティブな活動/視ることのアレゴリー/『ぴあ』の時代のアート 1997(平成9)年 ―日本とアジアの美術 1998(平成10)年 ―『日本・現代・美術』刊行 1999(平成11)年 ―時代の体温展/セゾン現代美術館閉館へ 2000(平成12)年 ―スーパーフラット 2001(平成13)年 ―モダニズムvsポップ/80年代からゼロ年代の絵画空間の変遷 ネクストステップ コラム 「90年代のインディーズ・メディアと東京のアート・シーン──インターネット出現前夜のDIY的情報発信者たち」 楠見 清 「未知の空気の追体験――平成の日本美術形成史」 小金沢 智 「言葉の不在」 木村絵理子 第2部 1995―20XX 『20世紀末・日本の美術―何が語られ、何が語られなかったのか?』 中村ケンゴ+眞島竜男+永瀬恭一+木村絵理子 イントロダクション 1995(平成7)年 ―奈良美智とサブカルチャー/『モダニズムのハード・コア』 1996(平成8)年 ―「アトピックサイト」展が意味するもの 1997(平成9)年 ―大学でつくられる美術理論誌/日本美術の再評価が盛んに 1999(平成11)年 ―デパート美術館の相次ぐ閉館/美術系WEBサイトの黎明期 2000ー2001(平成12ー13)年 ―地方へと分散していくアートイベント 2002(平成14)年 ―大学における研究成果のオープン化/『芸術が終わったあとのアート』を読み直す/会田誠の表現とマイクロポリティクス/ゼロ年代のアート資本主義 2003(平成15)年 ―職業美術批評家不在の時代に/別のかたちで試みられる美術批評/誰が批評的発信をするのか/批評と共同体との関係性 ネクストステップ
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高田マル『絵画検討会2016-記録と考察、はじめの発言』
¥1,320
小社からの発送は、書店からの返送品(やや傷、汚れあり)のため、定価より100円引きの1200円+税にて販売いたします。 ご購入ご希望の方はあらかじめご了承ください。 今、絵画を描く意味とは何か? 総勢17名の作家・批評家による最新の絵画論! これは、グループの結成ではありません。 絵画存在に「描きながら」アプローチしている人たちに声をかけました。 個々の発表にご期待ください。 呼びかけ人:高田マル 2016年夏、東京都豊島区のTURNER GALLERYにて、呼びかけ人の高田マルによって企画されたグループ展「絵画検討会2016」が開催されました。 展覧会名にあるとおり、同展は「絵画」をテーマとし、5人の作家がそれぞれの「絵画」へのアプローチを提示。会期中にはギャラリー内や出品作家のアトリエなどでトークイベントなどが行われ、多くの議論を呼びました。そこには、絵画への根強いニーズ、そして近年再び注目を集めるモダニズムへの関心などが背景にあるのでしょう。会期終了後も、美術誌へのレビュー掲載やSNS上における反響などを呼び、結果として、多くの作家、批評家を巻き込みながら展開してきました。 本書は、「絵画検討会2016」の記録誌の位置づけから、作品図版を豊富に収録(全作品リスト含む)。加えて、作家の発言を収録することにも力を入れています。「絵画検討会2016」では、展覧会のドキュメントを残すという意図から、会期中のトークのみならず、企画段階でのミーティング記録のすべてが文字化され、記録されてきました。本書では、そうした厖大な情報の中から、作家の発言を編み直し、また作家による書き下ろしを加えることで、5人の作家がどのようなスタンスで「絵画」に取り組んでいるのかを伝えます。 また、寄稿者による論考やトークや対話も読みどころのひとつです。テーマは、「絵画検討会について」「展覧会評」「絵画論」と多様で、現在の絵画を考察する意味でも必読の論考が揃いました。 現代における絵画の意味をいま一度、考え直し、深めていく「はじめての発言」として、広く読んでもらいたい1冊です。 書名:『絵画検討会2016-記録と考察、はじめの発言』 呼びかけ人:高田マル 出品作家:TYM344、高田マル、林香苗武、ムカイヤマ達也、本山ゆかり 寄稿ほか:石山律、内田百合香、浦野玄馬、黒瀬陽平、沢山遼、gnck、Taxxaka、千葉成夫、土屋誠一、都築潤、野田尚稔、平間貴大 仕様:並製本、ペーパーバック サイズ:四六判 ページ:164ページ(カラー64ページ) デザイン:小林すみれ ISBN:978-4-908122-06-4 2017年3月3日発行 [目 次] はじめに 作品 TYM344|高田マル|林香苗武|ムカイヤマ達也|本山ゆかり 3階展示風景|展示作品一覧 寄稿 Ⅰ. 絵画検討会とは? Taxxaka|なぜ、私たちは「絵画」を「検討」せざるを得ないのか 野田尚稔|もう一度見るために ― 絵画を検討する gnck|芸術の公共圏 浦野玄馬|絵画の検討の検討について、あるいはプロジェクトされる絵画 Ⅱ. 作品評 千葉成夫|絵画への入り方―「 絵画検討会2016」展を見て Ⅲ. 絵画論 土屋誠一|「デスクトップ型絵画」理論構築のための序論 都築 潤|「絵一般」について 「絵画検討会2016」に関する出来事一覧 石山 律 |(零れ落ちないための)覚え書き 発言 TYM344|高田マル|林香苗武|ムカイヤマ達也|本山ゆかり 追加質問とその回答 反応 Talk 都築潤×高田マル|描き(絵)とは? Talk 内田百合香×林香苗武|絵画 Dialogue 黒瀬陽平×TYM344|絵画検討会とフォーマリズム絵画 Review 沢山 遼|構造と貧困 プロフィール あとがき
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『リボーンアート・フェスティバル 公式記録集』
¥2,750
東日本大震災からの復興を願って開催される芸術祭「Reborn Art Festival」。 2017年に開催された伝説の第1回「Reborn Art Festival 2017」に参加した 44名(組)のアーティストの作品を完全収録した決定版作品集! 書名:「リボーンアート・フェスティバル 公式記録集」 編:和多利浩一、リボーンアート・フェスティバル事務局、高城昭夫、明石康正、沢井美里 ページ:192ページ 製本:コデックス装 サイズ:B5判変形 デザイン:groovisions ISBN:978-4-908122-11-8 2019年4月刊行 言語:日英バイリンガル 掲載作家一覧(44名/組、本書掲載順) ルドルフ・シュタイナー、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、名和晃平、皆川明、目、八木隆行、Zakkubalan、有馬かおる、犬山キワマリ荘、パープルーム、XYZ Collective、水戸のキワマリ荘、ハスラー・アキラ、カオス*ラウンジ、齋藤陽道、キュンチョメ、クー・ジュンガ、バリー・マッギー、JR、小林武史×WOW×DAISY BALLOON、カールステン・ニコライ、増田セバスチャン、金氏徹平、SIDE CORE(BABU 森田貴宏 BABU EVERYDAY HOLIDAY SQUAD Nampei Akaki BIEN) 、鈴木康広、コンタクトゴンゾ、青木陵子、伊藤存、ブルース・ナウマン、Chim↑Pom、ファブリス・イベール、パルコキノシタ、デイビッド・ハモンズ、宮永愛子、さわひらき、岩井優、島袋道浩、宮島達男、増田拓史、Yotta、草間彌生
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和田唯奈『ぽっかりちゃん』
¥2,200
心の中に住んでいるぽっかりちゃんは、 いつもぽっかり。 たのしいとも、かなしいとも、 うれしいとも、くるしいとも、感じません そんなぽっかりちゃんの目の前に ぷつりくんという男の子が現れます。 ぷつりくんと出会って、 ぽっかりちゃんは「だいすき」という 気持ちを持つようになり……。 画家・和田唯奈による描き下ろし絵本「ぽっかりちゃん」。 誰の心にも住んでいる「ぽっかりちゃん」の姿を、 オリジナルのペインティングとストーリーで描き出す。 孤独、出会い、愛、絶望、トラウマと克服、そして安息……。 幾重ものコンテクストが織り込まれた心の冒険譚。 お子さまはもちろん、 心を見つめなおしたい大人に読んでほしい、珠玉の絵本です。 書名:「ぽっかりちゃん」 作・絵:和田唯奈 ページ:60ページ(オールカラー) 製本:上製本(絵本) サイズ:B5判変形 デザイン:小林すみれ ISBN:978-4-908122-13-2 2019年3月11日刊行 作者プロフィール 和田唯奈(わだ・ゆいな) 画家。1989年岐阜県生まれ。加納高等学校美術科、名古屋芸術大学洋画2コース卒業。Gallery Delaive(オランダ)所属。GEISAI#17鈴木心賞受賞、ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校第1期夏野剛賞受賞。 [主な展覧会] 2012年 個展「KIRAKIRA」YEBISU ART LABO(愛知) 2012年 個展「GEISAI#17 鈴木心賞受賞 和田唯奈個展」Hidari Zingaro(東京) 2013-2014年 個展 Gallery Delaive(アムステルダム) 2016年 個展「和田唯奈のお誕生日パーティ」ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ(東京) 2017年 ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校上級コース成果展「まつりのあとに」連動企画「あなたのわたしで描いた絵」B.Esta337(東京) 2018-2019年 お絵描きのお家による絵画展「しんかぞく」都内各所、B.Esta337(東京) 2019年 絵本原画展「ぽっかりちゃん」B.Esta337(東京) 『ぽっかりちゃん』によせて(文・和田唯奈) この度わたしは、 子どもたちと、子どもの心をもったまま大人になったひとたちへ、 ひとつ芸術をつくりました。 絵本です。 あなたは、絵本を読み聞かせてもらったことがありますか? どうか、たくさんありますように。 ちなみにわたしは、たくさんありますよ。 わたしのお母さんは、毎晩かならず絵本を一冊、 眠る前のふとんのなかで、読み聞かせてくれました。 それはわたしの、たしかに愛された記憶です。 わたしは絵本がだいすきでした。 なによりもたしかな愛と共にあったからです。 あなたも絵本と聞いてたしかな愛を思い出せるのであれば、幸いです。 もうすこしわたしの話をします。 当時は、じぶんでもつたないながら絵本を描いていました。 わたしはいま絵描きですが、 その原体験は、じつはじぶんの絵本を描くことにあります。 その一部はまだ保管してあり、さいきん読み直しました。 ただじぶんの絵本といっても、 内容は読み聞かせてもらった絵本の真似をしたようなものばかり。 でもだからこそ、わたしが絵本をどんなものだと考えていたのか、 鮮明に思い出されたのです。 穏やかなまどろみの、深い眠りにつく前のこと。 母の声は、世界を覆うまくを見破り、そこに隠れたひみつを暴く。 たしかな愛に包まれたわたしは、現れた奇形の生物にも動じず、 疑いなく憑依するのだ。 特異な秩序を真っ直ぐ進み、超現象も無邪気に受け入れ、 異種間交流も容易くこなし、暴力さえ軽やかな笑いと共に受け流しながら、 好奇心の勢いにのって、不可思議な事件も寛容な解決へと導くころ、 達成感と安堵が視界を暗く染めはじめ 目がさめると、すでに世界のまくは元通り、すきまなく閉じているのでした。 わたしは知っていました。世界はまくで覆われていることを。 まくを破ればそこに、世界のひみつがあることを。 どうやらそれは、とてもじゅうだいなひみつのようでした。 だって保育園でも小学校でもテレビでも、家族だって、 ふだんの生活で絵本に描かれていることを話す大人は、だれもいないのです。 お母さんも、薄情でした。 まくを見破る張本人で、ひみつを共有しておいて、 ふだんはしれっとしています。 どうして? 毎晩くりかえしているのに。 だからわたしはたしかめたくて、じぶんで描いていたのです。 絵本が、ほんとうにあることを。 わたしの話が長くなりました。 退屈でしたね、ごめんなさい。眠くなってしまったでしょう。 ほら、ここにふとんがあります。 入って。 わたしもあれからずいぶん成長しまして、お母さんになったのです。 みてください。ついに、ほんものの絵本を描きました。 『ぽっかりちゃん』という絵本。 子どもたちと、子どもの心をもったまま大人になったひとたちへ、 そう、あなたのために、 ひとつ芸術をつくりました。 まどろんできましたね。 深い眠りにつく前に、 お母さんが、世界のまくを破ってみせましょう。 さあ、どうぞ。
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『飯塚小玕齋―絵画から竹工芸の道へ―』
¥1,980
画家になりたかった竹芸家―飯塚小玕齋。 「工芸」と「絵画」の間で苦闘し、 成し遂げた「造形美」を1冊にまとめた決定版! 「竹は自然が最も美しいと思う」 飯塚小玕齋(いいづか・しょうかんさい、1919-2004)は、竹という素材を尊重し、竹ならではの造形美を追求した竹工芸家です。1982(昭和57)年には、重要無形文化財「竹工芸」保持者(人間国宝)に認定され、「用の美」の理念のもと、作品を磨き上げました。父・琅玕齋から学んだ技術を現代的な感性で発展させた作品は、今日の竹工芸の基盤を形成したとも言われ、格調高く、洗練された美しさを有しています。 その小玕齋が、若かりし頃、画家を目指していたことはあまり知られていません。代々竹工芸を生業とする飯塚家の次男として生まれた小玕齋は、幼少期から竹に親しんできたものの、画家を志し東京美術学校油画科(現・東京藝術大学)に入学、画家・藤島武二の教室で、画業の研鑽に励みました。しかし、父から竹工芸を継承すべく修行をしていた長兄・幹雄が1943年に他界。戦後復員ののちは、画家を諦め、琅玕斎の指導のもと、竹工芸の道へ進むこととなります。竹工芸家としての初期の主な発表の場であった日展への出品作品は、竹を素材にしながらも、具象的・抽象的表現を取り入れた、絵画研究を下地とするものでした。ところが、竹という素材と向き合うなか、そのような鑑賞を主体とする作品ではなく、使用することを一義とした「用の美」の追求こそ本来の竹工芸の仕事ではないかと思い至ります。 本書は、飯塚小玕齋の生誕100年を記念して、太田市美術館・図書館にて開催される「太田の美術vol.2「生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」の公式カタログとなります。同展は、非凡な画才を感じさせる中学校時代のスケッチから東京美術学校時代の卒業制作、そして竹工芸に絵画的な表現を取り入れていた時期の作品を経て、「用の美」へと至る晩年までの仕事を約30点の竹工芸作品と資料によって振り返るものとなっており、本カタログにはそれらの図版や資料を収録しています。 さらに本書では、展覧会出品作品(絵画、竹工芸)にかぎらず、飯塚小玕齋が主な発表の場とした日展、日本伝統工芸展、現代工藝展出品作品を可能なかぎり図版として掲載。さらに、飯塚小玕齋の東京美術学校時代の同級生であった画家の野見山暁治氏のインタビュー、長女・飯塚万里氏の当時を振り返ってのエッセイ、担当学芸員の同展にあたっての論考も収録します。 飯塚小玕齋のキャリアを一望にできるレゾネ(全作品集)として、また、「工芸」というジャンルがはらむ「用の美」と「鑑賞の美」との葛藤の歴史を、一人の竹工芸家の造形をもとに考察していくものです。 自身の意に反しながらも絵画から竹工芸の道へと邁進し、挑むようにして素材と向き合い、工芸とは何か、美とは何かを真摯に問い続けた飯塚小玕齋の歩みをご覧ください。 書名:飯塚小玕齋―絵画から竹工芸の道へ― 編著:太田市美術館・図書館 ページ:132ページ(作品図版等カラー80ページ、モノクロ52ページ) 製本:ソフトカバー サイズ:B5変形 デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-12-5 2019年2月刊行 [目 次] まえがき 図版 1 画家を目指して:一九三〇年代〜一九四二年 -中学校時代:水彩・素描 -東京美術学校時代:水彩・素描 -東京美術学校時代:資料 -兵役時代:資料 -[作家解説]藤島武二 2 竹工芸の変遷と成熟:一九四七年〜二〇〇三年 -戦後:図案 3 飯塚小玕齋と太田 参考 主な展覧会出品作品 (1) 日展 (2) 新日展 (3) 改組日展 (4) 日本現代工芸美術展 (5) 五都展 (6) 日本伝統工芸展 (7) 日本伝統工芸新作展 (8) 現代工藝展 論考・テキスト [論考]日本近現代工芸の思潮から見た飯塚小玕齋―「実用」への抵抗と「鑑賞」への接近、その転換点から 小金沢 智(太田市美術館・図書館学芸員) [インタビュー]画家・野見山暁治が語る、東京美術学校での飯塚小玕齋 話し手:野見山暁治(画家) 聞き手:飯塚万里(飯塚小玕齋長女、「琅玕洞」主宰)、小金沢智(太田市美術館・図書館学芸員) [エッセイ]美は内にあり それからの父、小玕齋 飯塚万里(飯塚小玕齋長女、「琅玕洞」主宰) [再録]竹に学んで 飯塚小玕齋 [再録]なぜ「己」を抑えるのか 田中三蔵(『朝日新聞』記者) 年譜 参考文献 出品作品リスト 飯塚小玕齋プロフィール 飯塚琅玕齋次男として1919年に生まれる。本名成年。幼少より画家を志し、東京美術学校(現東京藝術大学)油絵(洋画)科藤島武二教室を卒業。第二次大戦復員後、長兄幹雄の他界にともない画家の道を諦め、琅玕齋の厳しい指導を受けた。1945年の初入選を皮切りに22年間日展を舞台に活躍。「点・線・面」の理論などを軸に、壁面装飾、照明器具等、金属、アクリルなどの異素材と組み合わせた作品を含む多様で斬新な作品を発表したが、次第に「竹の素材の持つ必然性」と、工芸の「用」の問題に直面し、4年間の沈黙の後、1974年、日本伝統工芸展発入選、文部大臣賞受賞、その後29年間日本工芸会木竹部で重責を務めた。1979年より3年にわたり宮内庁委嘱により正倉院宝物竹工品調査委員を務めた。2004年逝去。
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岡田裕子+松下学+阿部謙一(オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」)『現代アート探偵 ゲンダイチコースケの事件簿「銀髪の賢者と油之牝狗」(ぎんぱつのけんじゃとあぶらのビッチ)』
¥1,760
各地で伝説の公演を繰り広げて来た、岡田裕子主宰・会田誠顧問によるオルタナティブ人形劇団「劇団★死期」が、推理小説(児童向け)として生まれ変わりました。 舞台は、人形たちが生きるパッパラワールド。物語は、都内の美術大学に通う美大生が謎の死を遂げたところから始まります。事件現場に残された謎のメッセージ《無限大の律動》、そこには悪の権化、地獄の学芸員の影がちらつきます。 この難事件を解決に導くのは、金田一耕助……ではなく、現代アート探偵ゲンダイチコースケ。現代アートや現代思想を武器に様々な事件を解決してきた名(迷)探偵は、今回の難事件を解決することができるのでしょうか。美しき助手のベッキーモロー、いい加減なガイコツ刑事、漆黒の監視員など、魅力ある登場人物が物語に華を添えます。 また、物語には現代アート、サブカルチャー、現代思想のキーワードが無数に散りばめられ、注釈、挿絵も多数収録。児童文学でありながら、ハイコンテクストなアートブックとして、子どもと大人が一緒に楽しめる、お得な1冊です。 書名:「現代アート探偵 ゲンダイチコースケの事件簿『銀髪の賢者と油之牝狗』」 (ぎんぱつのけんじゃとあぶらのビッチ) 著者:岡田裕子+松下学+阿部謙一(オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」)著 モノクロ/カラー、300ページ ISBN:978-4-908122-02-6 B6判(128×182mm) 【もくじ】 よいこのみんなへ プロローグ 第一章 不可思議な事件の始まり―未明の住宅街@エンコージ 人形たちに人気の街―真昼の第一死期ビル@チキジョージ ゲンダイチコースケ登場―真昼の探偵事務所@チキジョージ① バンドマンからの相談―真昼の探偵事務所@チキジョージ② 第二章 被害者は美大のアブラ系女子―朝のニュース番組@ニッポン① 事件を分析する識者の見解―朝のニュース番組@ニッポン② 「先生、お仕事ですかっ?」―真昼の探偵事務所@チキジョージ③ ガイコツ刑事、恐怖の取り調べ―夕方の取調室@エンコージ 第三章 ゲンダイチの推理と確信―夕暮れの犯行現場@エンコージ① 呼び出された美大生たち―夕暮れの犯行現場@エンコージ② 謎の言葉《Rhythm 0》とは?―夕暮れの犯行現場@エンコージ③ 事件解決と思いきや……―夕暮れの犯行現場@エンコージ④ もう一つの新たな悲劇―逢魔時の犯行現場@エンコージ① 地獄の学芸員、姿を現す―逢魔時の犯行現場@エンコージ② 第四章 その名も〝殺人ミュージアム〟―黄昏時の犯行現場@エンコージ① 上映された証拠のビデオ―黄昏時の犯行現場@エンコージ② 明かされた《無限の律動》の謎―黄昏時の犯行現場@エンコージ③ 第五章 ミュージアム・トークの緊急開催―暗夜の言論対決@エンコージ① 「間違っているのは、お前だ!」―暗夜の言論対決@エンコージ② はたして暴力は芸術なのか―暗夜の言論対決@エンコージ③ 追いつめられた地獄の学芸員―暗夜の言論対決@エンコージ④ ベッキー・モローの大活躍―暗夜の最終決戦@エンコージ① ゲンダイチとベッキーの決め技―暗夜の最終決戦@エンコージ② 残業しない女、漆黒の監視員―暗夜の最終決戦@エンコージ③ エピローグ ビールと餃子と男と女―深夜の餃子の王将@オギュクボ 【特別付録】 「僕、カエルになんかなりたくない ―ポスト・ケロ年代を遊泳するオタマジャクシたち、あるいは、リキッド・アーキテクスチュア2・∞のメタ・プロトコル………沼地国際教育大学准教授・蛙田カエル あとがき ―不真面目さについての真面目な話 人形劇「ゲンダイチコースケ」シリーズの小説化について 協力者一覧 著者略歴
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亜 真里男『The situation is under control』
¥2,970
現代のジャポニスム作家「亜 真里男」は、 「3・11」以降の日本に、何を見て、何を描くのか!? スイスに生まれ、ドイツに育ったアーティスト亜 真里男(あ・まりお/Mario A)は、1982年に来日して以来、約30年間、日本をベースにアーティスト活動を行っています。 日本人よりも日本を愛してやまないその制作活動は、「日本趣味」=「ジャポニスム」の系統に属するものでしょう。 美術史でジャポニスムの代表作といえば、ゴッホの《花魁》やモネの《ラ・ジャポネーズ》等が挙げられますが、日本の美意識や独特な空間構成が、印象派をはじめ、西洋美術に強い影響を与えたことをそれらの作品から知ることができます。 本書タイトルの「The situation is under control」とは、「2020年東京オリンピック」の招致にあたり、国際オリンピック委員会総会で安倍晋三内閣総理大臣が行った演説の一節です。つまり、事故を起こした福島の原子力発電所がコントロール下にあるという内容でしたが、日々流れてくるニュースからは誰の目にも「NOT under control」であることが明らかです。 かつてのジャポニスムは主に美意識や形式を模倣しましたが、現代のジャポニスムは、美しく平和な日本を守るために、原発問題や平和憲法などに対する積極的な社会的言説を含んだアートとして、日本人に語りかけるべきだと作家は考えています。 本書には、2011年から2016年にかけて描かれた「3・11」以降の絵画シリーズ全35点と、幾重に重ねられた作品コンセプトを解読するためのステートメントを収録し、亜 真里男による新しきジャポニスムのかたちに迫ります。 書名:『The situation is under control』 著:亜 真里男(あ・まりお/英語名:Mario A) 解説:市原研太郎 カラー/モノクロ、96ページ(カラー80/モノクロ16) ハードカバー 本体:B5 変形(185×246mm) デザイン:木村稔将 ISBN:978-4-908122-04-0 2016年5月25日発行 [著者 profile] 日本のアーティスト。 1959年バーデン・スイス生まれ。ベルリン美術大学中退後、ベルリン大学修士修了。東京都現代美術館他で作品発表。ミヅマアートギャラリーから青山|目黒 OFFICE (青山秀樹)へ移動。2016年、青山秀樹の青空耳のディレクションにより活躍中。2016年5月「アートフェア東京」にて個展。2016年9月青空耳(東京の青山|目黒スペース)にて個展「The situation is under control」。 最近の主な展覧会:2014年 Esther Woerdehoff 「Drive In」Paris/Ljubljana;2013年 「If walls could speak」ING Collection、 Amsterdam、「SOMANYIMAGES」Sprout curation、東京、2012年「亜 真里男個展」 アートフェア東京など。 作品集・書籍:『Prélude à la Japonaise』松浦理英子 (文) 1996年、『F THE GEISHA』多和田葉子 (文) 1999年、『カメラの前のモノローグ 埴谷雄高・猪熊弦一郎・武満徹』2000年、『ma poupée japonaise』島田雅彦 (文) 2001年、『マリオ・A 日本美術家』市原研太郎((解説) 2004年、『The World Is Beautiful』2006年、『The situation is under control』市原研太郎((解説) 2016年、他多数。 アーティスト・ウェブサイト:http://marioa.com